スラムドッグ・ミリオネア
2008年公開のイギリス映画スラムドッグ・ミリオネアは、2008年・2009年の2年間、世界中の映画祭を総なめにした。
米国の第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門を受賞している。
インド人外交官が執筆しただけあって描かれているシーンの数々が実にリアルで、
映像からボンベイの町の臭いが感じられるほどの強いインパクトがある。
近い将来、中国の人口を上回ると予想されているインドをこれほどまでに描いた映画をこれまで見たことが無い。
また、出演している少年少女達の演技が真に迫っているので、見ていて身につまされてしまう。
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ブラッド・ダイヤモンド
アフリカ、シエラレオネ共和国の内戦の資金源となった密輸ダイヤモンドをテーマに描かれた。
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー
アフリカ地域紛争の武器購入の資金源となる不法取引されるブラッド・ダイヤモンド。
自由の名の下に無差別な殺戮を繰り返す反政府組織と政府軍の争い、
装飾ダイヤの密輸に関わる企業と、虚栄のためにダイヤを求める消費者など、
輝きのある「石ころ」にそれほどの価値があるのか。
負傷して死を覚悟したディカプリオが手のひらのダイヤをまじまじと眺めているシーンを見た時、
ふとそう感じてしまいました。
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天使と悪魔
大ヒットしたダビンチコードから3年後、続編ともいえる天使と悪魔が映画化は大成功で、
ストーリーの展開、迫力共に申し分の無い出来栄えだった。
トム・ハンクスの延ずるラングトン教授は、ジェームスボンドを演じるショーン・コネリーと同様に、
他の男優では違和感が感じられるほどのはまり役と思える。
前作同様にバチカンを舞台としたストーリーと宗教という神秘的な分野で、
これでもかという位に大胆なストーリーを展開しており、カソリックの信者からクレームが付いているのではと心配してしまう。
サスペンスの娯楽大作として充分に堪能できる映画だ。
第三作の続編を是非観てみたい。
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ゼロの焦点
松本清張の生誕100年に当たり、数多くの清張作品が映画やドラマとなって放映されているが、
点と線と同様に初期の作品となるゼロの焦点は、これまでにも映画化されている。
幾度と無く映画化されても全く色あせない原作の素晴らしさと面白さには驚嘆せざるを得ない。
今回の映画化では三名の女優(広末涼子、中谷美紀、木村多江)が演じる女性がそれぞれ個性的に演じられていて、その演技に醍醐味があった。
中でも犯人役の中谷美紀の眼力には恐怖を感じるほどの凄みがあった。
数ある清張作品の中でも非常に良い作品であったと思う。
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アマルフィー
全編イタリアロケという珍しい映画のコマーシャルを観たときから、映画館でぜひ見たいと思った。
人口5000人の小さな街を中心にアマルフィー海岸は世界遺産に指定されている。
小気味の良いテンポでサスペンスのストーリーが展開していく。
出演する俳優人も豪華だが、唯一、私の好きな佐藤浩市だけはミスキャストと思った。
できればもう少しあくの強い男優を配してほしかった。
それでも映画は充分に満喫できたし、南アタリアが映画の舞台となっていることでより一層楽しめた。
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ディパーティッド
レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソンという豪華な顔ぶれで、
2007年アカデミー賞の4部門(作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞)に輝いたディパーテッド。
原作が香港映画でそのリメイク版ということに驚く。海外の映画のリメイクで作品賞は初めてということである。
監督マーチン・スコセッシがシシリー出身ということで、ギャング映画作りに長けているのに納得してしまう。
暴力と芸術が共存するムードは正にスコセッシの真骨頂で、若き日のロバート・デニーロ、ジョディー・フォスターで話題になった
「タクシードライバー」や、ディカプリオが主演した「ギャング・オブ・ニューヨーク」、「アビエイター」など、
どれを取ってもスコセッシと解かる映画ばかりだ。
常にインパクトが強い映画を作るので見ている側も疲れてしまう、スコセッシの映画にはそんな印象がある。
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オリヲン座からの招待状
宮沢りえ、加瀬亮主演の昭和の時代の映画館に纏わるストーリー。
「Always三丁目の夕日」以降、昭和を題材とした映画やドラマが何と多いことか。
平成の時代が余りに殺伐とした話題が多すぎて昭和が懐かしく思える、そうした風潮が昭和の回顧を加速させているのだろうか。
ものが無く飢えていた昭和の時代、ものが余って欲求を満たせなくなった平成の時代。
何かが欠けているためにそれを手に入れようと頑張る、人間にはそうしたモチベーションが常に必要と言うことの裏返しなのか。
宮沢りえのほのぼの感は昭和の時代に見られる共通の母親像に思える。
また、宇崎竜童の職人気質は昭和の時代の共通の親父像にも思える。
只、残念なのは、この種の映画の名作「ニュー・シネマ・パラダイス」の印象が余りに強く残っているため、
それを超えるインパクトが無い。
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続・Always 三丁目の夕日
前作が公開されてから続編が映画化されるというニュースを聴いてから待ち遠しく思えたが、こんなに早く見られるとは思わなかった。
出演者も前作と変わらずに、タイムマシンに乗って何処かの街をまた覗いて来たような感覚だった。
新鮮味という意味では前作を見た時の衝撃は無かったが、それにも増して登場人物が描かれた時代の心を更に印象付けられた。
前作も映画で見た後にTSUTAYAでDVDを借りて見たり、TV放映を見たりしたが、
この続編もまた何度か見ると思う。ストーリーが解かっていても何度も見たくなるそんな映画だ。
今回も前作と同じシネマで見たが、前作以上の観客が入っていた。
そして前作と明らかに違うのは、中年・熟年世代だけでなく中高生が多く見受けられたことである。
時代は変わっても人が求める心はいつまでも変わらないことを感じた。
いつまでも、真っ赤な夕日が綺麗に見えるハートを持ち続けていたい。
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エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜
「水に流して」は、私が好きな金子由香里が好んでエンディングに歌うシャンソンである。
この映画でも、ピアフを演じるマリオン・コティアールの熱唱により最後に唄われて幕を閉じる。
麻薬により心身ともにボロボロの状態から再起しようとするピアフの精神状況を、「水に流して」の力強い歌詞と曲が見事に表現していた。
「愛の讃歌」、「バラ色の人生」、「群集」、「ミロール」、「パダン・パダン」など、
金子由香里が唄うエディット・ピアフの歌をこれまで何度聞いたことか。
金子由香里が自身の苦難の人生を、ピアフの歌に映していたような気がしていたが、映画を見て更にそう感じた。
ピアフの曲が生まれた状況や背景を知ることで、これまで以上にそれらの曲が好きになった。
47歳という若さで波乱の生涯を閉じたエディット・ピアフの唄った歌は、
人々をいつまでも感動させずにはいられないパワーを永遠に持ち続けている。
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東京タワー
「Always 3丁目の夕日」と同時代の昭和30年代の映画だが、今ひとつ感動がなかった。
製作側の狙いなのかもしれないが、主演のオダギリジョーの淡々とした演技は、余りにも普通過ぎてドラマチックな印象が無さ過ぎた。
ストーリー的には紆余曲折があるので、もう少し波乱万丈の動きを加えて欲しかった。
樹木希林は相変わらずの存在感が合って、彼女が出ていなかったら非常に薄味の映画になってしまったと思う。
流石に親子で内田也哉子は、若い頃の母親役として全く違和感が無かった。
唯一女優としてのキャリアを除いては。
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ドリームガールズ
ジェニファー・ハドソンがアカダミー助演女優賞を受賞したドリームガールズは、
往年のスーパーグループ「シュープリームズ」をモデルに映画化された。
映画「レイ」と「Walk the Line」に次ぐ音楽映画の連続ヒットで、
今年もまた何本かのミュージシャンをテーマにした映画が発表されるのではないだろうか。
リードボーカルを務めたビヨンセ・ノウルズも、ダイアナ・ロスのソフトで滑らかなボーカルを充分にイメージさせてくれた。
ジェニファー・ハドソンの張りのあって量感を感じる声は、サラ・ボーンを若くしたような印象を受けた。
この手の映画はアメリカ以外では到底見ることができない十八番の映画だが、
音楽センスを感じる英国製の音楽映画を是非見てみたい。
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フラガール
「三丁目の夕日」や「フーテンの寅さん」など、人情が通っている映画や、
努力が報われて成功を収めるという実話に基づいたこの手の映画にからっきし弱い私は、
映画終了時に、できるだけ長い暗闇を必要とした。
蒼井優の、物静かな反面意志の強さを感じる女優には、紀美子は打ってつけのはまり役だった。
富司純子の厳しい母親役も見事で、この二人が居なかったら可也色褪せてしまったと思う。
ソロで踊る場面など迫真の演技だった松雪泰子だが、主演女優でありながら食われてしまった感すらある。
常磐炭鉱と常磐ハワイアンセンターいう強烈な二つのインパクトが、地元民を演じる女優に重みを与えてしまったのかも知れない。
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硫黄島からの手紙
クリント・イーストウッド監督は30日で仕上げた映画は、優しくて切ない戦争映画だった。
カトリーヌ・ドヌーブと共にアカデミー賞プレゼンターを勤めた渡辺謙は、
ラストサムライ以降、いまや完璧に世界のミフネと言われた三船敏郎の後継者としての地位を築いた感がある。
黒澤明と共にハリウッドデビューした三船敏郎とは異なり、アメリカ映画の仕事でデビューした
渡辺謙は、これからも数々のアメリカの監督に指名を受けるのではないだろうか。
白人に比較しても見劣りしない身長、インタビューにも臆せず応える物腰、
そして何よりもまして俳優としての目つきが良いと思う。
世界のワタナベと言われる日も近いことを感じさせる。
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地下鉄(メトロ)に乗って
昨年ヒットした「Always 3丁目の夕日」と同時代の昭和30年代。
一人のセールスマンが赤坂見附駅の地下道を歩いているとき、東京五輪に沸き立つ東京にタイムスリップする。
その後、数回に渡り各時代にタイムスリップして若き日の父親に出会い、成人になる前から憎んでいた父親の真の姿を知る。
そうした最中、運命的な出会いが原因となり最愛の女性と永遠に別れることになる。
多くを語ろうとしない父親を誤解したままを亡くしてしまい、その後に父の若き日の直向きな思いと父が生き抜いた時代を知る。
『あなたは父親になる前の父を知っていますか。』の映画のキャッチコピーにある様に、
父親との関係に釈然としない思いを持ったまま父親を亡くしてしまった人には身につまされる映画である。
浅田次郎の原作が良かっただけに、映画としては少し残念な出来栄えのように思えた。
映画「地下鉄(メトロ)に乗って」のサイト
日本沈没
初めて小松左京の原作を読んだときは、その壮大な内容に度肝を抜かれた。
学生の頃、天体に興味があって地学部天文班で部活動をしていた関係で、今でも新聞記事やTVニュースで天体や星雲の話が出ると思わず食い入って観てしまう。
実際に起きている大陸プレートの移動をベースにした日本が沈没するというストーリーの設定は余りにも突飛だが、
微かな可能性も感じてしまうため、強ち笑ってもいられない恐怖感がある。
それにしても特撮と映像の迫力が素晴らしく、GSが爆発するシーンでヘリコプターから柴崎コウが地上にいる少女を救出するシーンなどは、まるでアメリカ映画のようだった。
前作は結末が余りにも悲惨だっただけに、今回の作品は「英知が日本全滅を食い止めた」。そんな印象を与える結末となっていた。
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The 有頂天ホテル
三谷幸喜の作品はこれまで殆ど観ているが、ストーリーの展開が速くいつも引き込まれてしまう。
有頂天ホテルの顔ぶれは、これまでの三谷幸喜作品の中でも豪華な顔ぶれで、再三TVコマーシャルしていた訳が分かった。
様々な人が入り乱れて、はちゃめちゃな騒動が彼方此方で同時に発生し、
最後は丸く収まるというハピーエンドもこれまでの三谷作品と全く変わらない。
「フーテン寅さん」と同じように何度見ても飽きることがない映画だ。
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ダ・ヴィンチ・コード
『イタリア、ルネッサンス芸術を代表するレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画には、驚くべき秘密が隠されていた。』
このフレーズを聞いただけで、この種の映画が大好きな私にとって正に必見の映画だった。
文庫本3冊、それも可也込み入ったストーリーを映画の中に凝縮するには些か厳しいものがあったが、
見ていて全く飽きることはなかった。アカデミー賞云々という話とは全く別次元の娯楽映画として最高の映画だった。
ストーリーは、映画や本を観ていない人のために敢えて触れないが、
信じる信じないとの論争とは別に、先ず、1本の映画として鑑賞することをお薦めする。
映画「ダ・ヴィンチ・コード」のサイト
角川書店 ダ・ヴィンチ・コードのサイト
Walk The Line
1950年代、プレスリーらと共にロカビリーの一時代を築いたジョニー・キャッシュと、
ソロ歌手から後に生涯のパートナーとなる歌手ジューン・カーターとの出会いから結婚に至るまでを綴った伝記映画。
ジョニー・キャッシュは、南部の貧しい農家で生まれ、欧米で1,500曲と470のアルバムをリリースを記録するヒットメーカーとなった。
子供の頃に自分のせいで兄を失ったという精神的な痛みと、父親から愛されずに育った少年期。
ホアキン・フェニックスの演ずる暗くて不器用そうな雰囲気は、紛れも無くジョニー・キャッシュを感じさせた。
そうした彼の前で丸で太陽のように輝いていたジューン・カーター。
結ばれるべく結ばれた、正に陰と陽のカップルだった。
共にアカデミー賞主演賞にノミネートされたが、結果は陰と陽の映画のイメージそのままに、
ジューン・カーターを演じたリーズ・ウィザースプーンがアカデミー主演女優賞を射止めた。
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Always 三丁目の夕日