Yukari Kaneko

Chanson Recital、神奈川県民ホール、Dec., 3, 2004、18:30−21:00

此処に金子由香里を紹介するのは余りにも遅すぎるかも知れない。

金子由香里の唄を最初に聞いたのは銀座にあったシャンソニエ、「銀巴里」だった。
ジュース一杯で何ステージでも聞いていられる安上がりの店で、懐が寂しいときでも気軽に入れる店だった。
細い階段を降り、店内に入って直ぐ左脇の一番後ろの席や、左の壁際の席で良く聞いていた。
4名の歌手が2曲づつ歌い1ステージ30分、それを30分毎に繰り返す。
昼の部と夜の部の入れ替え制だったがそれでも充分楽しめる場所だった。

いろいろなタイプの歌手の中で特に好きだったのが金子由香里だった。
か細い囁くような歌い方とシャンソン特有の語る唄い方、そして両足を広げて
まるで男性バリトン歌手のような声を張り上げる唄い方と、
シャンソンは歳をとらないと歌えないと言われる正にそれを実証する素晴らしい歌唱だった。

シャンソン、カンツォーネ歌手の登竜門でありながら、
若手もベテランも同じステージで真剣に唄っていた「銀巴里」がとても好きだった。
「銀巴里」が無くなってから他のシャンソニエにも暫く通ってみたが、
何処と無く怠惰な雰囲気が嫌いで以来シャンソニエには殆ど行かなくなった。

金子由香里のコンサート活動は今回で25年を迎えるが、私にとっては3回目のコンサートになる。
前回のコンサートから10年近くライブを聴いていないので、以前のような声が出るかどうかが気掛かりだった。
しかし、そんな心配は全く不要だった。
first song タイトルを引用すれば、『時は過ぎてゆく、けれど金子由香里は変わらない。』
そんな印象だった。
唯一「銀巴里」の頃と変わったのは、肩まであった髪の毛がショートカットになったことぐらいだ。

コンサートの時に好んで着ていた黒のロングドレス、アンコールの真っ白のロングドレスと、
以前と変わらぬ構成に、まるで時間が止まっていたような感覚を覚えた。
「銀巴里」の頃、お母さんと呼ばれていたときそのままに、
祝いの花束をステージに持ってきてくれる人との語らい、その間5分程じっと待ってくれた他のお客への配慮、
それに応えてアンコールを3曲熱唱してくれた。
この日の2時間半は、未だ一流のシャンソン歌手であることを示した円熟のコンサートだった。

★ プログラム ★

Part1 Part2
時は過ぎてゆく モンマルトルに帰りて
人生は美しい 昔の唄
桜んぼの実る頃 小雨降る径
詩人の魂 暗い日曜日
ペジュの貴婦人 待ちましょう
ラ・メール アデュー
残されし恋の後には 人生は過ぎゆく
群集 わらわないで
アコーディオン弾き 再会
10 水に流して おゝ我が人生
他 アンコール3曲
 


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